日常では出会えない景色と、気になっていたあの乗り物と。

日常では出会えない景色と、気になっていたあの乗り物と。

スキー場でよく目にするアレ、コース整備や救護で斜面をブオーンと登っていくアレ。乗ってみたいけど特殊な訓練や免許が必要なんだろうな……と諦めかけていたアレに、実は誰でも乗れると知ったのはつい最近のこと。 とあるホームページのQ&Aが、勝手な思い込みを解いてくれたのです。


ネットで見つけたのは、鳥海高原南由利原スノーモビルランド。そのホームページにはこう書いてありました(以下抜粋)。

・スノーモービルを運転するのに免許や資格は不要

・小学生以上でブレーキ、アクセルの操作ができれば1人で乗ることが可能

・初めてでもインストラクターが個別に指導するので安心

しかもこのスノーモビルランドでは、1kmの周回コースから10kmのツーリングコースまで全3本のコースを設定。俯瞰図から、周回コース以外は林間を走り抜ける本格的なコースであることが読み取れます。

これは……絶対に楽しいやつ! そう確信したリポーターは、すぐさま予約の電話を入れると、秋田駅(秋田市)から車で1時間20分ほどの目的地へ急いだのでした。
日常では出会えない景色と、気になっていたあの乗り物と。 | ブランニューアキタ | アキタファン

本日の相棒、YAMAHA BR250!

訪れたのは、南由利原青少年旅行村。鳥海山が「さかさ鳥海」として映し出される大谷地池をはじめ、四季折々の自然が満喫できる高原には、キャンプ場、サイクリングロード、天体観察施設などがあり、春から秋にかけては多くのレジャー客でにぎわいます。

しかし辺り一面が雪で覆われる冬は、季節休業に入る施設も少なくなく、人影はほぼ皆無。秋田で暮らすリポーターでさえ、この時期に訪れるのは初めてでした。
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大荒れの天気のなか、あらかじめコースを試走してくれていた工藤さん

「道の悪い中、ようこそおいでくださいました」

そう言って迎えてくれたのは、インストラクターの工藤さん。記録的な寒波で朝から激しく雪が降っていたにも関わらず、ツーリングを希望したリポーターのためにルートを試走してくれていたようです。

スノーウエアに着替えたあと告げられたのは、この日のツーリングコースは新雪がたっぷり積もり、初心者には厳し目のコンディションだということ。ライン取りやアクセルコントロールを誤って雪の深いところに入ってしまうと、さすがのスノーモービルも動けなくなってしまうようです。

一瞬、不安が頭をよぎりましたが

「やるだけやってみて、ダメだったら引き返しましょう」

という工藤さんの言葉と優しい笑顔が、背中を押してくれました。操作について一通りの説明を受け、まずは周回コースでカーブを曲がる練習から始めます。
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いよいよ白銀の世界へ飛び出します

ところがこれが、なかなかうまくいきません。先導する工藤さんはスムーズにカーブを曲がっていくのに、こちらのスノーモービルの動きはどこかギクシャク。カーブも膨らみ気味です。

「アクセルを入れすぎですね。あと、曲がりたい方向へ体重移動することも大事です。ハンドルを切るだけでは、スノーモービルは思うように曲がってくれません」

工藤さんのアドバイスを全力で吸収しながら、練習に没頭すること約30分。相棒の赤いマシンが少しずつ思い通りに動くようになっていく過程が、何だかとてもうれしく感じました。

そしていよいよツーリングに出発です。ここからはもう一人のインストラクター、渡部さんもサポートに入ってくれました。
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少しずつ乗りこなせるようになっていく過程が楽しい!

前方に工藤さん、後方に渡部さんという、まるでSPに護衛されたVIPのようなポジショニングで森の中へ入ります。練習前に伝えられた通りコース上の雪は非常に柔らかく、工藤さんのラインを少しでも外すとスノーモービルの速度は一気にダウン。さらには雪が激しく降りしきり、視界が奪われるシーンもありました。いっときたりとも気が抜けません。
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10kmのツーリングコースは変化に富んだルート設定

それでも決してモチベーションが下がらなかったのは、コースが変化に富んでいたから。上り坂、下り坂、緩やかなカーブ、急カーブ。スノーモービル1台がやっと通れるような狭い場所があったり、少しスピードを出して走れる長い直線があったり。

(これだけ楽しめて3,210円はコスパ良すぎ。今日は来たかいがあった)

心の中でそうつぶやいた時でした。目の前に予想だにしなかったボーナスステージが現れたのです。
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森を抜けると視界が開けた場所に出ました

そこはサッカー場が何面も入りそうな広大な場所。

「よく頑張りました。往路は終わりです。帰るまで自由時間にするので、ここを好きなだけ走ってください。晴れた日は風車の向こうに鳥海山が望めるのですが、この天気ではさすがに無理でしたね。残念!」

と工藤さん。

いやいや、全然残念じゃありません。街中では絶対に出会えない大空間を独り占めして、スノーモービルを走らせることができるだけで十分幸せです!
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貸切状態の大雪原で、童心に返って遊び尽くしました

たとえ遊びでも、いろいろ規制されるのが当たり前の現代社会で、これほどまでに自由度の高いサービスは本当に貴重だと思います。スノーモビルランドが明確に禁じているのはひとつ。レース行為をしてはならないということだけ(ルールとして明文化されていませんが、自然の中で遊ぶ上での最低限のモラルも守りましょう)。

新しいスキルを身に付ける喜びがあり、コースを走破した際には達成感が味わえ、何より自由で心地よい疲労感もある。鳥海高原南由利原スノーモビルランドを旅の目的地として、遠方から宿泊込みで訪れるのもアリだと思います。冬のレジャーに断然オススメです!
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工藤さん、渡部さん、ありがとうございました!

今回訪れたスポットの詳細はこちら ▶ 鳥海高原南由利原スノーモビルランド