ちょっとそこまで、ドラゴンアイまで。

ちょっとそこまで、ドラゴンアイまで。

健脚でなければ登山はできない? それは大きな誤解です。体力に自信がなくても、楽に登れる山は探せば全国にいくらでも見つかります。


秋田・岩手両県にまたがる八幡平は、ビギナーにやさしい山のひとつ。ここは標高1,613mの山頂付近まで車で行けてしまう上、駐車場のあるレストハウスから"真の山頂"までの距離も最短ルートで1km台。グリーンシーズンで天気の良い日なら、普段着で登頂できる気軽さが魅力です。

レストハウスを起点とした登山道(自然探勝路)は、「大回り」、「小回り」、「山頂との往復」の3本。八幡平のシンボルである八幡沼を周回する大回りコースが最長となりますが、同ルートを歩いたとしても所要時間は90分程度。高山植物やオオソラビソ(アオモリトドマツ)の樹林、火山活動によってできた湖沼など、八幡平の自然を存分に満喫しながらほどよく汗をかくには、ちょうどいい距離です。
ちょっとそこまで、ドラゴンアイまで。 | ブランニューアキタ | アキタファン

看板の赤いラインが登山ルート

その八幡平が近年、休日・平日を問わず観光客が押し寄せるという、ちょっとしたブームのような状態になっています。人気に火をつけたのは『八幡平ドラゴンアイ』。登山道中で出会う湖沼のひとつ「鏡沼」が融雪期、龍の眼のようになる現象がSNSを通じて爆発的に広まったのです。

幽玄なブルーの水面と白い雪が描き出す奇跡のアート。ドラゴンアイは積雪量や雪解け状況、天候などで出現時期や見え方が変わってくるため、毎年訪れる人や、シーズン中は何日か続けて訪れるという人も少なくないようです。
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ドラゴンアイ効果で一躍人気スポットに

暖かい時期の鏡沼を知る身には、ことさら神秘的に映るドラゴンアイ。なぜこのような形が出現するのか、ブログやSNSを通じて、ドラゴンアイの情報を精力的に発信している秋田県鹿角地域振興局の藤田さんに聞いてみました。

「冬の間は真っ白な雪に覆われる沼に、暖かくなるにつれ大量の雪解け水が流れ込み、やがて中央部の雪が浮力で持ち上がるんです。そしてさらに気温が上がると今度は浮いた中央部のセンターから雪が解け出し、龍の眼が"開眼"するというのが自然の生み出すアートの全容と言われています。ちなみに昨年(2020年)は5月下旬に瞳の部分が現れ、輪郭のブルーが濃くなってきたのが6月上旬。"開眼"となったのは6月7日でした」
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ドラゴンアイが出現するまでの記録

そんな期間限定、一期一会の美しさは、海外の人の心も引き付けました。八幡平のドラゴンアイは2019年、各国の外国人による審査で日本の優れた製品や観光資源などを発掘・認定する「クールジャパンアワード」を受賞。同アワードより、日本を代表するに足りる傑出した自然の風景地というお墨付きを得ています。
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空から見たドラゴンアイ

ドラゴンアイに注目が集まり訪れる人が増えたのは喜ばしいことですが、一方で少し気になる話もあります。何でも"開眼"前の雪が積もった鏡沼の沼際を歩く人が後を絶たないのだとか。大勢の人が沼を踏み荒らしてしまうと綺麗なドラゴンアイが見られなくなる可能性があり、また雪が崩れて下に落ちる危険性もあるので、鹿角地域振興局では「鏡沼の沼際を歩くことは絶対にやめてほしい」と呼びかけています。
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この状態でも沼の際を歩くのは危険です

なお例年ドラゴンアイが出現する時期の八幡平は、駐車場に車を駐めるための渋滞が発生するほど混み合うので、お出かけの際は時間に余裕をもったスケジュールを立てるのがオススメです。またこの時期は登山道に雪が残っていることが多いので、スノーシューズや防寒着は必ず持っていくようにしましょう。
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お出かけの際はスノーシューズを忘れずに

今年はいつ頃、どんなドラゴンアイと出会えるでしょうか。片道徒歩20分の登山へ、みなさんもぜひお出かけください。

今回訪れたスポットの詳細はこちら ▶ 八幡平ドラゴンアイ(鏡沼)

(公開:2021年2月)