【冬の秋田はほっとけない!】秋田の小正月行事 地域の風土を感じる旅へ

【冬の秋田はほっとけない!】秋田の小正月行事 地域の風土を感じる旅へ

旧暦の小正月に行われる、秋田の多種多様な伝統行事。今回はその中から、地元民でなくても楽しめる4つの行事をご紹介します。"男鹿のナマハゲ"のように全国的に知られるものではないかもしれませんが、訪れた人を「来てよかった」「また来たい」という気持ちにさせるものを選りすぐっています。

【大仙市】引き合う綱の大きさは国内最大級!「刈和野の大綱引き」

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500年以上の歴史があり、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

最初に紹介するのは室町時代から続く、国指定重要無形民俗文化財の「刈和野(かりわの)の大綱引き」です。行事の発祥は平将門の一族である長山氏が大仙市刈和野に住みつき、自身の守護神である市神をまつるため、綱引きを始めたことによるのだとか。
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観光客でも綱引きへの飛び入り参加ができます!

かつては上町、下町に分かれて戦った勝者がその年の市場開設権を獲得したそうですが、今は上町が勝てば米の値段が上がり、下町が勝てば豊作というお告げが下されます。
見ものは直径約80センチ、長さ約200メートル、重さ約20トンの大綱を数千人が引き合うシーン。「ジョウヤサノー」の掛け声とともに波打つ大綱、会場を包み込む熱気に心を揺さぶられない人はいないはず。
 
刈和野の大綱引き
開催日:毎年2月10日

【仙北市】冬の夜空を紙風船が舞う幻想的な光景 「上桧木内の紙風船上げ」

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100個を超える紙風船が夜空に舞い幻想的な光景が広がります。

続いては灯火をつけた巨大な紙風船が、きら星のごとく真冬の夜空に舞い上がる「上桧木内(かみひのきない)の紙風船上げ」です。行事の起源は定かではありませんが、一説によると江戸時代の科学者である平賀源内が銅山の技術指導に訪れた際、熱気球の原理を応用した遊びとして伝えたのだそう。
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紙風船には、その年の願いを込めて武者絵や美人画が描かれています。

上桧木内の紙風船上げは戦時中から昭和49年まで中断していましたが、地元有志らの熱心な活動により復活。秋田の冬を代表する風物詩となるに至っています。
五穀豊穣、無病息災、家内安全、商売繁盛、交通安全、合格祈願……作り手の願いを乗せた紙風船が空へ無数に舞い上がる光景は、映画のワンシーンのようで心を奪われること必至です。
 
上桧木内の紙風船上げ
開催日:毎年2月10日

【美郷町】男たちが竹の棒で激しく打ち合う「六郷のカマクラ・竹うち」

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今でも本来の姿を保ち、住民の伝承意識が高いことから貴重なものと言われています。

お次は毎年2月中旬、5日間にわたって行われる「六郷(ろくごう)のカマクラ」です。
約700年の歴史をもつこの行事は、豊作、安全繁栄を祈念する"年ごい"、凶作や不幸を取り除く"悪魔払い"、その年の吉凶を占う"年占い"が一体となっているのが特徴。「蔵開き」「天筆書き初め」から「竹うち」「天筆焼き」に至る一連の催しが、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
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天筆書き体験の様子

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南軍が勝つと米の値段が上がり、北軍が勝つと豊作になると言われています。

最大の見どころは、最終日の夜に行われる竹うち。7~8メートルの青竹を持った男衆が南北に分かれて激しく打ち合うシーンは壮絶で、見応えがありすぎるほど。戦いの後、皆が割れた竹でご神火を打ち、暗闇に火の粉を舞い上げるラストまで片時も目が離せません。
 
六郷のカマクラ行事・竹うち
開催日:毎年2月中旬の5日間

【にかほ市】タラを担いで町内を練り歩く奇祭「掛魚まつり」

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「タラまつり」とも呼ばれ、全国的にも奇祭のひとつに数えられています。

最後は300年以上続く伝統の奇祭、「掛魚(かけよ)まつり」です。
掛魚とは海上安全と豊漁を願い、漁師が氏神様にお供えする魚のこと。掛魚まつりでは立春の日に、地元の漁師やその家族らが二人一組で生のタラをぶら下げた棒を担ぎ、奉納先の金浦山神社を目指します。
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神社に奉納されたタラ。この時期に採れた中で最も大きなものを奉納するそうです。

掛魚の出発地点は金浦港。出発から掛魚とともに約2キロの道のりを歩けば、田舎町の情緒と風情が味わえるでしょう。
 
掛魚まつり
開催日:毎年2月4日
https://akita-fun.jp/spots/118

いかがでしたか。この記事で興味がわいた方は、ぜひ旧暦の小正月に秋田へ訪れてみてください。よく言われることですが、やはり見ると聞くとはだいぶ違います!!
 
(公開:2023年12月)